story
最後に聞こえた言葉は何だ? ひんやりとした何かが頬を冷やしていく。 …ああ、そうだ。 「ごめんなさい」 ……だ。薄れゆく意識の中見たそれ。口端を吊り上げながらそんな事を 言ってやがった。 許さねぇけどな 食事処となっている宿の一階。俺が階段を下った時には 既にカウンター席には既知の顔が座っていた。 「ブービー」 「競争なんかしてねぇだろ」 とても楽しそうに笑いながら言ったルイナにそんな事を言い放ち 俺もカウンター席、いつもの席に座った。 ちらり、視線は依頼が張り出される壁へ。いくつかの依頼があるようで 座った直後ではあるが、また席を立つの壁際へ。 「…お」 良いのがあった。内容は…よく分からないな。直接会ってから伝えると 書いてる。 報酬は前金として500クレジット。更に成功すれば500クレジット。 つまり全部で1000クレジット。かなり高額だ。 いやそれより何より、一番重要なのは『男性のみ』受ける事が出来る… という書き込み。つまりだ。俺は依頼中、こいつらを気にする必要が なくなるって寸法だ。思わず口許がにやけてしまう。 「親父、これ受けるぞ」 「ん。そうか」 「セシル、仕事するの?」 早速ハイエナのように席を立ち上がったのはアルビノ。 残念だったな。 今回は無理なんだぜ? 俺はニヤリと笑った。 「…何よ」 「依頼書をよく見るこったな」 俺は荷物を取りに、一度部屋まで戻った。 「…くあぁ…なるほど、セシルの奴め」 「一杯喰わされたな。諦めろ。別に家賃払えるだけの金はあるだろ?」 「だって1000よ!1000!…くそぅ…」 「…なら、男装でもしろよ」 「嫌よ。胸でバレちゃうだろうし」 「あーそうかい」 「…今回は諦めるわ」 荷物を取り終えた俺は、軽い足取りで階段を下りる。 皆の視線が俺に向いていて、俺はニッと歯をちらつかせて笑った。 「なぁに、三日位で終わると思うからよ」 言った。