story
「はぁ…やっと終わったぜ…」 「お酒でも飲みたい気分ね」 「同感だ…親父、何でも良いから酒くれー」 「…大人はいいですね」 「アルトリアも飲めばいいじゃないか」 「お酒は20歳になってからなんだよ、ビィ」 「…そうなのか」 「二人とも、ほどほどにしとけよ。特にアルビノ、お前いつも酔うと絡んでくるからな。あれ、うぜぇから。あれ、うぜぇからな?」 「何よ、いつもほろ酔い程度よ」 「それはお前の勘違いだ。大いなる勘違いだ。時間遡って確認してこい」 「アルビノさん、まるで別人のようですからね…」 「ああ…始終ニコニコ笑ってる姿は、確かに別人だな」 「お酒飲むと、アルビノの中にいるもう一人のアルビノが姿を現すんだよ」 「そうだったのか。という事は、アルビノは二人で一人なんだな」 「真に受けるな」 「何よ皆して。そんなんじゃないってば」 「おい親父、何もたもたしてんだー!」 「…返事はない。ただのしかば…」 「それ以上は危険だから言わない方がいいわよ?」 「いないんですかね?」 「厨房を見てくる」 「…いつもカウンターにいる娘さんもいないな」 「…無人?」 「…野盗入り放題だな。ベッドの下に隠してある金、確認してきた方がいいんじゃねぇか?」 「盗まれてたら盗んだ奴を即KILL!!」 「…ベッドの下って…あいつ何歳だよ」 「24歳だよ」 「…子供の頃は、よくベッドの下に大事な物を隠しましたけど…」 「ま、(ピー)隠すよりいいんじゃねぇ?」 「……んだよその目。ふざけろ、隠してねぇよ」 「焦る辺りが怪しいな」 「厨房には、親父も娘さんもいなかったぞ」 「じゃあやっぱり無人だね」 「二人していなくなっちまうってのは、ちょっと変だな」 「そうですね…片方がいなくなる事は多々ありますけど」 「拐われた?」 「そりゃないな」 「何でだ?」 「拐う事の目的は大きく分けると二つ。金か快楽。でも快楽の場合、こんな狙い辛い宿なんかより、もっと人気のない裏通り何かを狙う。 よって快楽は排除。次に金だけど、金を要求するためにはまず相手の状況なんかを調べるわけだ。 そして調べた結果、この宿には何でも屋が多数いる。狙うには大きなリスクを負う事になる。 つまり相手側がかなりの強者か大人数でなければならない。 しかし、強者ないし大人数ならば、こんな宿よりももっとでかい所を狙うと思う。つまり拐われたのではないと結論付ける」 「相手が出たとこ勝負の馬鹿か、日々スリルを求める大馬鹿だったら?」 「それもない」 「何で?」 「そもそも、争った形跡が一つもないからだ」 「ふぅ…アタシのお金は無事だったわ」 「良かったな。今こっちでは物凄い重圧な会話が繰り広げられてるぞ」 「ん?」 「とにかく拐われたにしろ何にしろ、親父さんも娘さんも居ないのは事実ですね」 「確かに。このままじゃ夕飯にありつけないぞ。腹が減ったら死ぬ。あたしは死ぬぞ」 「しゃあねぇ。探しに行くか」 「私行く」 「何の話?」 「今からセシルとルイナとアルビノが親父と娘さんを探しに行くって話だ」 「おい、いつの間に決まってんだよそんな事」 「『しゃあねぇ探しに行くか』。行くんだろ?」 「……言い返せねぇ……」 「わ、私も」 「いや、セナの言ったメンバーでいい。少しは宿に残った方がいいだろ」 「留守番か」 「…つまらないです」 「いいじゃんか。オレらは此処で、楽しい説明でもしながら待ってようぜ」 「楽しくない。それはちっとも楽しくないぞ。楽しいのはセナだけだぞ」 「…行くか」 「えっと…セシルに着いていけばいいの?」 「ああ」 「見つかるといいね」